第35回東京国際映画祭が始まります。過去2年、コロナ禍での縮小開催でしたが、今年は通常開催に近づきレッドカーペットも復活。日本初上陸の作品を中心とした新作、話題作がてんこ盛り。ひとシネマ取材陣が、見どころとその熱気をお伝えします。
![東京国際映画祭「はだかのゆめ」Q&Aに登壇した(左から)前野健太、唯野未歩子、青木柚、甫木元空監督=山田あゆみ撮影](https://images.microcms-assets.io/assets/d247fcc9b85b413caf66458586629de0/0cdcc7b51467470f98fbadcbacad140f/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E6%98%A0%E7%94%BB%E7%A5%AD%E3%80%8C%E3%81%AF%E3%81%A0%E3%81%8B%E3%81%AE%E3%82%86%E3%82%81%E3%80%8DQ%26A%E3%81%AB%E7%99%BB%E5%A3%87%E3%81%97%E3%81%9F%EF%BC%88%E5%B7%A6%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%89%E5%89%8D%E9%87%8E%E5%81%A5%E5%A4%AA%E3%80%81%E5%94%AF%E9%87%8E%E6%9C%AA%E6%AD%A9%E5%AD%90%E3%80%81%E9%9D%92%E6%9C%A8%E6%9F%9A%E3%80%81%E7%94%AB%E6%9C%A8%E5%85%83%E7%A9%BA%E7%9B%A3%E7%9D%A3%EF%BC%9D%E5%B1%B1%E7%94%B0%E3%81%82%E3%82%86%E3%81%BF%E6%92%AE%E5%BD%B1..jpg)
東京国際映画祭「はだかのゆめ」Q&Aに登壇した(左から)前野健太、唯野未歩子、青木柚、甫木元空監督=山田あゆみ撮影
2022.11.01
青木柚「ゆったりした時間の流れと包容力」高知ロケで魅力実感 「はだかのゆめ」Q&A:東京国際映画祭
第35回東京国際映画祭Nippon Cinema Now部門で10月31日、「はだかのゆめ」がワールド・プレミア上映された。上映後のQ&Aには出演した青木柚、唯野未歩子、前野健太、甫木元(ほきもと)空監督が登壇した。母親が余命宣告を受けた甫木元監督の実体験を元に、高知県でロケ撮影した。
(C)2022TIFF
甫木元監督「青山作品と上映、夢だったが」
甫木元監督は、3月に急逝した青山真治監督から、大学時代に映画を教わったという。青山監督から「忘れられた日本人」(宮本常一著)を勧められて読んだことをきっかけに小説を書き、後に本作の脚本へと発展した。「映画祭で(青山監督の作品と)一緒に上映するのは、夢だった」と語り、深い思いをにじませた。
Q&Aでは「映画の中で、生と死の曖昧さを感じたが、意図はあったのか」という質問がキャストと監督に向けられた。
甫木元監督は、四万十川に沈下する前提の橋が架けられたり、お遍路があったりすることから、高知県に「あの世とこの世の境界線が曖昧な印象を受けた」という。母親との関係を脚本に反映させ「母親が死んで自分が生きているのではなく、母親が生きているのを見たい」との思いを込めた。
(C)2022TIFF
青木「0か100じゃない揺らぎを大事にしたい」
青木は脚本を初めて読んだ時、「だれが生きていて、だれが死んでいるのか分からなかった」と明かす。ほとんどセリフがない役柄だったが「言葉にできないものがこの映画では大事だ」と感じたという。「0か100じゃない揺らぎを大事にしたいと考えていた」と振り返った。唯野も、脚本を読んで「生きてる人が生きてないようで、死んでる人が死んでないみたいだと思った」。
一同は撮影を通して、高知県の魅力を大いに感じたと口をそろえる。青木は初めての高知で「『いてもいいよ』と言ってもらえているような感覚と、ゆったりした時間の流れがあり、土地の包容力を感じた」。
前野は「森がざわっとして、顔に見えた」と、神秘的な経験と共に自然に圧倒されたことを明かす。四万十川の様子が映し出されるテレビ番組をずっと見ていたり、飲み屋の優しい大将と仲良くなって一緒に飲みに行ったりと「とても良い時間を過ごした」。前野の思い出話に、登壇者に和やかな笑いが起こった。
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