「告白 コンフェッション」 ©2024 福本伸行・かわぐちかいじ/講談社/『告白 コンフェッション』製作委員会

「告白 コンフェッション」 ©2024 福本伸行・かわぐちかいじ/講談社/『告白 コンフェッション』製作委員会

2024.5.31

「告白 コンフェッション」 無駄のない密室劇

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

大学山岳部時代からの親友、浅井啓介(生田斗真)とリュウ・ジヨン(ヤン・イクチュン)は登山中に行方不明になった同級生の西田さゆり(奈緒)の慰霊登山に出かけ、遭難してしまう。足の大けがのため死を覚悟したジヨンは、彼女を殺害したのは自分だと告白。2人はたどり着いた山小屋で、朝まで救助を待つことになる。

「カラオケ行こ!」のヒットも記憶に新しい山下敦弘監督が、福本伸行、かわぐちかいじ共作の同名コミックを映画化した。日本人ふたりの物語を、日本人と韓国人の設定に変更。ヤンの緩急自在な芝居により次第に暴力性をあらわにしていくジヨンの存在感が際立ち、ときには関節までおかしな動きをするなど過剰な表現が笑いを誘う。猛吹雪の音に重なる劇伴が緊張感を高め、階段や中2階のある美術も緻密な作り。浅井と西田の過去を描くパートがもっと挿入されていたら、数々の仕掛けやラストがさらに生きたのではないか。とはいえ、驚きと恐怖とユーモアが盛り込まれ、密室劇として無駄がない。1時間14分。東京・TOHOシネマズ日比谷、大阪・TOHOシネマズ梅田ほか。(細)

ここに注目

もっと心理的な恐怖を味わう作品かと誤解して心の準備をしていなかった私は、見始めたことを泣くほど後悔した。が、次第にその恐怖さえ超越する領域に。見事な間取りの山小屋という舞台装置もあいまって、劇場を出るときは閉じ込められていたお化け屋敷から息も絶え絶え脱出した気分。(久)

関連記事

新着記事