60年代初頭、後世に大きな影響を与えたニューヨークの音楽シーンを舞台に、19歳のミネソタ出身の一人の無名ミュージシャンだったボブ・ディランが、時代の寵児としてスターダムを駆け上がり、世界的なセンセーションを巻き起こしていく様子を描く。音楽史ジャーナリスト、イライジャ・ワルドの「Dylan Goes Electric! Newport, Seeger, Dylan and the Night that Split the Sixties」をベースに、「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」(2005年)や「フォードvsフェラーリ」(19年)のジェームズ・マンゴールドがメガホンをとった。若きボブ・ディランを演じるのは、ハリウッド新時代のスター、ティモシー・シャラメ。ビジュアルだけでなく、ディランの独特な歌声を劇中で再現、全ての歌唱シーンを自身の声で歌い上げる熱演を見せる。さらに、エドワード・ノートン、エル・ファニング、モニカ・バルバロ、スクート・マクネイリー、ダン・フォーグラーら共演陣が当時の熱気をスクリーンに再現している。
1961年、米ソ冷戦や公民権運動から若者文化の興隆など、社会・文化が大きく変わろうとする激動の時代の中で、1人の若者が故郷のミネソタを後にし、フォーク・ギター1本だけを抱え、ヒッチハイクでニューヨークへ降り立つ。まだ、何者でもなかった19歳の青年は、魅力的なパフォーマンスと時代の心を掴んだ歌の数々で、たちまちスターダムを駆け上がっていく。〝フォーク界のプリンス〟や〝若者の代弁者〟として注目されていくボブ・ディランだったが、その栄光の日々の影には、誰もが心を揺さぶられる苦悩が隠されていた。高まる名声とは裏腹に、自分への周囲の期待と、本来の自分自身との軋轢に葛藤するディランは、1965年7月25日、5日前に発表したばかりの新曲を携え、ニューポート・フォークフェスティバルの舞台に立つ。その手にはエレクトリック・ギターが握られていた。
第82回ゴールデングローブ賞では、作品賞(ドラマ部門)、主演男優賞(ドラマ部門・ティモシー・シャラメ)、助演男優賞(エドワード・ノートン)にノミネートされ、第97回アカデミー賞では、作品賞、監督賞(ジェームズ・マンゴールド)、主演男優賞(ティモシー・シャラメ)、助演男優賞(エドワード・ノートン)、助演女優賞(モニカ・バルバロ)、脚色賞(ジェームズ・マンゴールド、ジェイ・コックス)、音響賞、衣裳デザイン賞の8部門にノミネートされている。
公開日: 2025年02月27日
名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN
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原題:A Complete Unknown
2024年 /アメリカ /141分 /G
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公式サイト: https://www.searchlightpictures.jp/movies/acompleteunknown
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