20世紀初頭のテキサスの農場を舞台に、人間の弱さともろさを描き、第32回カンヌ国際映画祭で監督賞、さらに第51回アカデミー賞では撮影賞を受賞した名作が、4Kレストアされ再公開される。監督は、「バッドランズ（地獄の逃避行）」（73年）でデビューし、「シン・レッド・ライン」（98年）や「ツリー・オブ・ライフ」（2011年）など、数々の受賞作を手掛けてきたテレンス・マリック。次作の「シン・レッド・ライン」まで、20年間に1本も作品を撮らなかったほど、本作に心血を注いだと言われる。本編のほとんどを、1日にわずか20分しかない日没間近の〝マジック・アワー〟の柔らかい光の中での撮影に費やされるという異例の方法で撮影された。

シカゴを離れたビルは、恋人のアビーと妹のリンダとともにテキサスの小麦農場に職を得る。結婚していないビルとアビーは世間体から兄妹だと説明している。農場の若くて裕福だが、病弱な農夫がアビーに惹かれ結婚を望むようになると、ビルは余命いくばくもない農夫の財産をめあてに、アビーに農夫のプロポーズを受けさせる。しかし、予想に反して農夫がなかなか死なないと、ビルに嫉妬と焦りが芽生えていく。

日本公開：1983年5月13日