監督・脚本は、絵画、小説、舞台、児童文学とジャンルを超えて才能を発揮しているビジュアルアーティストのフィリップ・リドリー。少年の目を通して幻想的かつ耽美的に描かれるホラー。ロカルノ映画祭で銀豹賞を含む5冠に輝いた。主人公セスの兄を演じるのは、後に「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズに出演するビゴ・モーテンセン。セスを当時9歳のジェレミー・クーパーが演じている。セスに吸血鬼と疑われるイギリス人女性ドルフィンを「アリス・イン・ワンダーランド」（2010年）や「アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜」（2013年）などのリンジー・ダンカンが演じた。

1950年代のアイダホ州。小麦畑が一面に広がる田舎町で、気弱な父と厳しい母と暮らすセスはごく普通のやんちゃな少年。ある日セスは、一人暮らしのイギリス人女性ドルフィンにしたいたずらがばれ、母に謝りに行かされる。ドルフィンの家は捕鯨の銛や骨で埋め尽くされており、彼女が語る亡き夫への愛や悲しみの話は衝撃的で、父が読んでいた吸血鬼小説の絵に彼女がそっくりだったことから、セスはドルフィンが吸血鬼に違いないと思い込む。そんなある日、行方不明になったイーブンの死体が井戸で発見される。セスはドルフィンの犯行を疑うが、自分の父に容疑がかかり、悲劇が連鎖してゆく。