おだ かおり
映像作家「鉱 ARAGANE」(2015年)「セノーテ」(2019年)「Underground アンダーグラウンド」(2024年)
第75回ベルリン国際映画祭で、小田香監督の日本映画「Undergroundアンダーグラウンド」が上映された。小田監督は出演した吉開菜央と現地入りして上映に臨み、終了後の質疑応答にも参加。ベルリンは初めてという小田監督は「温かい雰囲気での上映だった。観客との質疑応答も楽しいです」と映画祭を楽しんでいた。 虚実を行き来 拾われにくい物語に光を当てる 「Undergroud」は、札幌の融雪槽や地下鉄、沖縄のガマなど日本各地の「地下」の風景を16ミリフィルムで撮影した。カメラを持ち込むだけでなく、〝シャドウ(影)〟が観客を案内するように現れ、融雪槽の水面に映像作品を投影したり、ガマで平和...
勝田友巳
2025.2.22
5年で日本を3000キロ縦断 東北の震災で家族を失ったジャーマンシェパード犬の多聞(たもん)は、離れ離れになった大切な人に会うため5年の歳月をかけて日本を3000キロ縦断する。その途中で出会った人々は多聞と過ごす時間のなかで心が癒やされ人生に希望を見いだしていく。人と人とをつなげながら旅する多聞はどこへ向かっているのか――。 「ラーゲリより愛を込めて」にもクロという犬が 瀬々敬久監督、林民夫脚本と言えば「ラーゲリより愛を込めて」が記憶に新しい。戦後10年、ラーゲリ(収容所)で強制的に働かされた日本人たち。この生活はいつまで続くのか、果たして祖国に帰れる日は来るのか……と希望を見い...
PR東宝
2025.3.10
映画学校「film.factory」の卒業制作作品「鉱 ARAGANE」(2015年)ボスニア・ヘルツェゴビナの炭鉱を題材に選び、第1回大島渚賞を受賞した「セノーテ」(19年)では、メキシコのユカタン半島北部に点在するセノーテと呼ばれる洞窟内の泉と地下世界にカメラを向けてきた小田香が、日本の地下世界を描く。出演は、米津玄師「Lemon」MVのダンスで鮮烈な印象を残した映画作家であり、ダンサーの吉開菜央が、ある女の姿を借りた「シャドウ(影)」という存在を演じている。 地下の暗闇から、現れた「シャドウ(影)」は、ある女の姿を借りて、時代も場所も超えて旅を始める。滲み出す地下水に濡れる、地下鉄が...