原作の映像化〝忠実〟は幻想 必要なのは〝納得〟だ 「セクシー田中さん」の場合:よくばり映画鑑賞術
原作小説やマンガの「忠実」な映像化などというものは、所詮は幻想に過ぎない。ある種の虚構と言ってもいいだろう。メディアとしての特性が異なる以上、何らの「改変」も加えずに映像化することは、原理的に不可能だからだ。しかし、「原作に忠実である」という幻想/虚構は、視聴者が虚構の世界を安心して楽しむためにぜひとも維持されなければならない。そして、原作小説やマンガを映像化することの困難もまたそこに存する。 たとえば1クール10話前後のテレビドラマ(連続ドラマ)の場合を考えてみよう。各話ごとに見せ場と次回の視聴を促すような〝引き〟を用意し、それらを45分前後の放送時間にきっちりはめ込みつつ、しかも最終回に...
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伊藤弘了
2024.6.15