Huang Ji
1984年生まれ、映画監督、脚本、編集「卵と石」(2012年)監督「石門」(2022年)共同監督
現代の中国で女性が直面しているジェンダーギャップ、心身の痛みに向き合った問題作だ。政治や経済のゆがみの代償を背負わされる女性を丹念に描き出した。 中国湖南省。20歳の大学生リン(ヤオ・ホングイ)は思いがけず妊娠するが、出産も中絶も気が進まない。一方、婦人科医の母は担当した妊婦が死産した責任を問われ、賠償金を請求され首が回らない。リンは母を助けようと、賠償金の代わりに自身の子供を産んで、渡すことを提案する。 生殖ビジネスやマルチ商法など、経済的論理や格差社会のゆがみをいや応なく映し出す。常に固定したカメラは、リンと、彼氏や父母、賠償相手らと一定の距離を保つことで、現代の女性の孤立を象徴的に浮...
2025.3.07
5年で日本を3000キロ縦断 東北の震災で家族を失ったジャーマンシェパード犬の多聞(たもん)は、離れ離れになった大切な人に会うため5年の歳月をかけて日本を3000キロ縦断する。その途中で出会った人々は多聞と過ごす時間のなかで心が癒やされ人生に希望を見いだしていく。人と人とをつなげながら旅する多聞はどこへ向かっているのか――。 「ラーゲリより愛を込めて」にもクロという犬が 瀬々敬久監督、林民夫脚本と言えば「ラーゲリより愛を込めて」が記憶に新しい。戦後10年、ラーゲリ(収容所)で強制的に働かされた日本人たち。この生活はいつまで続くのか、果たして祖国に帰れる日は来るのか……と希望を見い...
PR東宝
2025.3.10
望まぬ妊娠に直面した20歳の主人公の目を通して、女性の前にある様々な壁を静かに見つめる。監督は、女性の性に関する問題をテーマに映画を共同制作してきた中国湖南省出身のホアン・ジーと東京出身の大塚竜治の夫妻。第60回台北金馬獎で日本資本の映画として初めて最優秀作品賞を受賞し、最優秀編集賞と合わせ2冠に輝いた。 2019年の中国湖南省長沙市。単発の仕事で日銭を稼ぎながら、フライトアテンダントになるための勉強をしている20歳のリン。郊外で診療所を営んでいる両親は、死産の責任を求めて賠償金を迫られていた。ある日リンは、自分が妊娠1カ月であることを知る。子供を持つことも中絶することも望まなかったリンは、...
思春期の少女が経験する〝初体験〟に焦点が当てられた本作。「石門」(2022年)で共同監督を務めることになるホアン・ジーと大塚竜治の共同監督第1作。親と離れて暮らす子ども(留守児童)が抱える孤独や、携帯電話やSNSの利用拡大が少女たちの生活にもたらす負の側面を浮き彫りにする。 中国湖南省の地方都市。16歳の高校生リンは、出稼ぎに出ている母親と離れ祖父母の家で暮らしていた。学校ではいじめに遭い、家にも居場所がなかったリン。親友と共に高校で盗んだスマートフォンを転売して小遣いを稼ぐようになるが、それをきっかけに街の怪しげな人たちと関わりを持ち始め…。 公開:2025年春
ホアン・ジー監督が8歳の頃に遭った性被害の事実が物語のベースになり、2012年当時の中国においてタブー視され、表に出てくることのなかった性虐待の問題を描いた。中国で社会問題の一つである、親の都市部への出稼ぎのために親と離れて暮らす「留守児童」の子どもが抱える孤独や、封建的な価値観が残り、女性にとって抑圧的な農村の姿が映し出されている。「石門」で第60回台北金馬獎で最優秀作品賞と最優秀編集賞の2冠に輝いたホアン・ジー監督の長編デビュー作。大塚竜治が、共同脚本と撮影、編集を担当している。第41回ロッテルダム国際映画祭グランプリ(タイガー・アワード)受賞作品。 中国湖南省の田舎町。14歳の少女ホン...