Daniel Gimenez Cacho
1961年5月14日 生まれ
奇妙で不可思議な引力を放つアルゼンチン発の歴史劇 スペイン語やポルトガル語圏の新作映画を日本に紹介する「ラテンビート映画祭」は、プログラムのクオリティーの高さに定評がある映画祭だ。商業的な難しさゆえに国内の配給会社が買い付けず、一般公開されない秀作がしばしば上映されるため、筆者は毎年ラインアップをチェックし、コロナ禍前には東京会場の新宿バルト9に何度も足を運んだものだ。 そんなラテンビート映画祭にて筆者がこれまで鑑賞した数十本の作品の中で、最も衝撃を受けたのが「サマ」(2017年、アルゼンチンほか)である。アルゼンチンの作家アントニオ・ディ・ベネデットが、1956年に発表した同名小...
高橋諭治
2022.4.10
著名なジャーナリスト兼ドキュメンタリー作家がたどるシュールな心の旅路を映し出す物語。彼は自らの内面を見つめ、過去、現在、メキシコ人としてのアイデンティティと向き合う。 SeoJu Park/Netflix © 2022
18世紀末、アルゼンチンの辺境に単身派遣された行政官のサマは、妻子の元に戻ることを熱望している。しかし待てど暮らせど異動通知は届かず、孤独感にさいなまれている。討伐隊に加わってと盗賊の元に向かうのだが。