「カラオケ行こ!」©2024『カラオケ行こ!』製作委員会

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2024.7.08

あふれる〝ベスト〟作品 洪相鉉

2024年も半分が過ぎ、映画館で配信で、たくさんの作品が公開されています。1年の折り返し点でちょっと立ち止まって、今年の秀作、話題作をおさらいしてみませんか。ひとシネマ執筆陣が、上半期の作品からお勧めの5本を選びました。

洪相鉉

洪相鉉

カラオケ行こ!(山下敦弘監督)
「一月の声に歓びを刻め」(三島有紀子監督)
「マッチング」(内田英治監督)
「辰巳」(小路紘史監督)
「違国日記」(瀬田なつき監督)

まだ半分、楽しい悲鳴

疑問に思う。配信の成長に反比例する劇場の衰退、製作本数の減少などに象徴される世界映画界の危機の中、日本映画界は「無風地帯」なのか。もちろん違うだろう。しかし、海外映画祭をにぎわせた傑作の多くがラインアップされていた今年の前半は、その盛り上がりに負けず、多くの作品が筆者を興奮させている。

公開順で見れば、数行のストーリーラインでも観客を魅了する発想(「カラオケ行こ!」)、完璧主義の作法に実験的試みを調和させたスタイル(「一月の声に歓びを刻め」)、まさにIP(知的財産権)産業強国の日本を代表するような個性が目立つワールドクラスのストーリーテリング(「マッチング」)、2本目(筆者としては「ケンとカズ」以後、待望の作品だが)と信じられないほど〝炸裂(さくれつ)〟する作風(「辰巳」)、特有のハイレベルㆍドラマトゥルクに深みまで加わった劇的な完成度(「違国日記」)などなど。ここまで来ると、「ベスト作品があふれているのに、まだ2024年の半分が過ぎただけ」という楽しい悲鳴を上げることになるのだ。

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ライター
洪相鉉

洪相鉉

ほん・さんひょん 韓国映画専門ウェブメディア「CoAR」運営委員。全州国際映画祭ㆍ富川国際ファンタスティック映画祭アドバイザー、高崎映画祭シニアプロデューサー。TBS主催DigCon6 Asia審査員。政治学と映像芸術学の修士学位を持ち、東京大留学。パリ経済学校と共同プロジェクトを行った清水研究室所属。「CoAR」で連載中の日本映画人インタビューは韓国トップクラスの人気を誇る。

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